ポリネシアカルチャー

イライア・ベイリー:言葉は文化を語る

イライア・ベイリー:言葉は文化を語る

 アオテアロア(ニュージーランド)出身のイライア・ベイリーは、現在ポリネシア・カルチャー・センターで、アオテアロア島の文化大使として働いています。会う人全てに、マオリ文化への愛を伝えています。文化に対する内なる声を見出す旅を何年も続けた後、自分が本当に楽しめる何かを見つけるために幾つもの違う学校へ通いました。イライアが、どのような経緯を辿ってワイカト大学でマオリ語(アオテアロア先住民族の言語)の博士号を取得するに至ったのか、その真相に迫ります。イライアの人生の軌跡を学ぶことで、私たちもマオリ文化に対して感謝の気持ちを抱き始めることでしょう。

マオリの共同体

 ポリネシア・カルチャー・センターのアオテアロア村 当センターのアオテアロア「島」を訪れると、美しく整備されたマラエ(コミュニティ共同体)に出会います。マラエ内には、3つの大きな建物があります。3つの中で1番大きな建物は、ファレ・ルナンガ(学びの家)と呼ばれています。遺産と先祖の象徴的表現が見られる場所です。自分がどこから来たのか学ぶことは、生涯続く旅であることがほとんどです。自分の先祖についての本を読む人もいれば、親戚から亡くなった家族のストーリーを聞く人もいます。どんな方法にしても、程度の違いこそあれ、誰もが自分のルーツと繋がりたいという憧れを抱きます。イラエアの場合、特にそうでした。当センターでは、文化的プレゼンテーションを披露したり、マオリ文化に関する質問について答えているイライアの現在の姿を見ることができます。

種を植える

ポリネシア・カルチャー・センターのファレ・ルナンガ(学びの家)の正面

 ポリネシア・カルチャー・センターのファレ・ルナンガ(学びの家)の正面 インタビューの前に、ファレ・ルナンガの中で行われる文化的プレゼンテーションを観るため早めに到着しました。イライアの言葉は、数百人ものお客様の注意を引きつけ、愛するマオリ文化について教えていました。インタビューの中で、イライアは、これほど珍しい博士号を取得するに至った経緯について話してくれました。 マオリ語を流暢に話せる人と出会うチャンスは早々ありません。 

 イライアは、16歳までニュージーランドに住んでいました。若い頃は、自分の文化を学ぶことに対してあまり興味がありませんでした。イライアと家族がオアフに引っ越した時、新たな興味やサーフィンに対する愛が芽生えました。「サーフィンばかりやっていました。」と、イライアは語りました。高校を卒業し、アリゾナ州インディアン自治区でナバホ族の人々の中でボランティアをした時に、初めて自分のルーツについてもっと興味を持つようになりました。 

 「ナバホ族の文化を見た時、自分の文化を思い出しました。家に戻った時、マオリ語を学ぼうと決心しました。」イライアはハワイに戻り、妻に出会いました。妻はイライアに大きな影響を与えました。ブリガム・ヤング大学ハワイ校へ通いながらポリネシア・カルチャー・センターで働くようイライアに勧めたのです。 当センターで働きながら、文化を学び始めました。イライアの妻はマオリ語を話せたので、イライアの文化を探す旅路を共に歩み、サポートしました。イライアは、自分の言語と文化を我が子たちに伝えることを決意しました。「子どもたちにマオリ語を知らずに育って欲しくありませんでした。」イライアの決意のおかげで、子どもたちは現在マオリ語を流暢に話します。初めての子どもが生まれるまで、自分の祖父母がマオリ語を知っていることを知りませんでした。祖父母は、イライアが娘にマオリ語で話しかけているのを初めて耳にしてからというもの、マオリ語で返事をするようになりました。祖父母が生まれた時からずっとマオリ語を知っていたということはイライアにとってショッキングな発見でした。祖父母の時代は、学校でマオリ語を話す生徒は文字通り叩かれました。しかし、祖父母は今やマオリ語は存続させるべきものであり、奨励されていることを理解したのです。 

 自身の文化を再発見するイアエアの探究は、マオリ語で博士号を取得することになるニュージーランドへと呼び戻しました。自分の文化と繋がりたいという望みを初めて抱いてからすでに20年が経っていました。

クマラ(サツマイモ)

アオテアロア村で成長中のタロとサツマイモ−ポリネシア・カルチャー・センターでイライア・ベイリーが始めたプロジェクトです。 

 イアエアの博士号はマオリ語ですが、言語を勉強するということは、文化を学ぶことであることを程なくして悟りました。「だから言語を学ぶのが大好きです。教育、政治、歴史、地理、アートを披露すること、テレビ…。全てを網羅しています。」当センターで働くことによって、アオテアロアでならではの素晴らしい文化と価値を観光客とアルバイト学生両方に伝えたいと願っています。 

 それに加えて、イアエアは、マオリ文化に関する胸躍る発見をしようと休む間もなく研究を続けています。最近では、クマラ(サツマイモ)を調理し保存する伝統的な手法を復興する研究をしています。イアエアは、貴重な主要産物を調理し、乾燥させ、保管する先祖の方法を本から学びました。「ここでは、サツマイモをたくさん育てています。」時として、試練と失敗を経て、古い手法を学んでいくことになります。「クマラをどのように準備するのか書かれている古い書物を丹念に調べることがよくあります。」イアエアはこのようにして、自身の文化について新しい発見をしていると感じています。そして、周りの人に同じことをするように教えています。

ルーツに帰る

 言語は環境に由来があると教えてくれた先生がいました。「言語は、海、森、川、大地、大地を耕す行為などから端を発しています。菜園にいると、全てがつながっていて、自分のルーツに触れているように感じます。」マオリ文化の言語を学ぶことが、過去と自分を繋ぐ助けとなったと感じています。「言語が、先祖たちと自分を繋げてくれた気がします。先祖がとった行動の理由を理解できます。言語は、先祖たちが暮らしていた世界を垣間見ることができる窓です。」

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