アオテアロア村にとって重要な意味を持つマオリのファレ・トゥプナ(先祖の集会所)は、ポリネシア・カルチャー・センターで最も象徴が顕著に見られる建物と言えるでしょう。

ファレ・トゥプナは、偉大な指導者を記念して建てられた

アオテアロア村マネージャーのキム・マケカウ(写真)が、ポリネシア・カルチャー・センター内ファレ・トゥプナをご覧になる際に全てのお客様に知って頂きたいキーポイントを説明しました。
■ どのファレ・トゥプナ(先祖の集会所)も、その特定の部族の中で傑出した共通の先祖の名前を取って名付けられます。まずそのことを知っていただきたいと思います。偉大な指導者を記憶に残すための建物です。偉大な先祖の子孫たちが世代にわたって、家の外側と内側の両方に、人生にまつわる家系図と神話、歴史と共に彫刻に刻まれています。
■当センターのファレ・トゥプナはハヴァイキロアという名前です。ポリネシアの人々にとって共通の先祖の名前を取って名付けられました。
さらに驚きの象徴
カケカウは、PCCのファレ・トゥプナには、さらに驚きの洞察が刻まれていることを指摘しました。

■この建物は、人間の体を表しています。
■例えば、この家の屋根の頂点は、顔を表します。目、鼻、口、舌も見ることができます。
■ 肩と腕は、マイリ(破風)です。先祖が両腕を広げているところを表します。
■腕の終わり、すなわち家の端の部分は、ラパラパと呼ばれ、手と指を表します。
■ 広げた両腕と両手は、訪問者を家に歓迎して呼び入れていることを表します。
■ 家の奥行きの長さと同じで屋根の上を縦断するタフフ(棟木)があります。最近では塗装されているのが一般的ですが、先祖の背骨や脊椎を表します。
■ ヘケ(垂木)は、「脊椎」から枝分かれしています。マオリ語でラアラアとは文字通り肋骨という意味ですが、ヘケには、子孫へ伝わるという意味もあります。つまり、この象徴は、コル(新しい命)が次の世代へと継承されることを描いています。

口伝による歴史は、特に地位の高い人物であった場合に伝えられてきました。家系図に詳しい人物が数人いました。家系図は、周りの部族と平和な関係を築くために使われていました。理由は、大抵の場合、親類であることがわかるからです。殺し合う必要はなくなります。平和な解決法を見つけることになります。家系図を通してつながりを発見することで、一致と絆が生まれました。
ニュージーランド以外の場所に現存する貴重なファレ・トゥプナ
マケカウが説明したところによると、ポリネシア・カルチャー・センターのファレ・トゥプナの特筆すべき点は、ニュージーランド以外の場所に建てられた彫刻入りの集会所は世界に5棟あますが、そのうちの1棟であるということです。
例えば、ハヴァイキロアと屋根の端に佇むクペは、1963年8月以来ずっとライエを見守っています。ハヴァイキロアとクペは、ニュージーランドから船で輸送され、同年10月にポリネシア・カルチャー・センターがオープンする前の準備期間中に組み立てられました。残りの3棟はシカゴ州のフィールド博物館、イングランドのサリー州、ドイツのハンブルクにあるテクノロジー博物館にあります。もう一棟はオーストラリアにありましたが、現在は故郷ニュージーランドに移転しています。
次にポリネシア・カルチャー・センターのアオテアロア村を訪れる際には、ぜひファレ・トゥプナのユニークな姿をじっくりご覧になってみてください。
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