ポリネシアの彫刻家たち-ベテランの彫刻家の1人である、レイモンド・モキアオとの詳細なインタビューによって構成された、5回にわたるシリーズです。彫刻がいかに複雑で繊細な匠の技であり、太平洋の島々の様々な文化を表現しているかを説明しています。彫刻のアートは、ポリネシア・カルチャー・センターに生命の息吹をもたらしているのです。
全ては木材から始まる
まずは、膨大な量の木の幹や枝を種類やポテンシャルによって選別するところから始まります。木材は彫刻家の人生の基盤です。普通なら、腐りかけの木のそばを通り過ぎると、「何て見苦しいんだ。」と思うかもしれません。ところが、彫刻家たちなら、その場に静かに佇み、ひとつひとつの木の破片が、木のこぶや木目、独特なパターンの色彩を引き立てる材料になるところを想像するのです。彫刻家の世界とは、隠れたポテンシャルを見出すことに尽きます。山のような木材を前にしたとき、レイモンドの目を通して、可能性が私たちの前に繰り広げられたのです。
カーネ神が、カマニウッドの美しい断片からその姿を現そうとしているのが分かります。
レイモンドは、この膨大な木材がどこから来たのかを説明してくれました。「最近、少なくとも50トンの木材を手に入れたよ。おそらく、10万ドル近い価値があるだろうね。木材のほとんどは、大規模なソーラーエネルギー計画の準備のために事務所の向かいにある駐車場から伐採された木なんだ。」
感謝することは数多くある
「今まで、このセンターでこれほど多くの木材の資源があったことはなかったよ。だから、これは本当に素晴らしい収穫なんだ。今はカマニ、オハイ(モンキーポッド)、ノーフォークマツにココナッツがある。普段は、『今から木の刈り込みをするよ。』って連絡をくれるローカルの人たちから木をもらっているんだ。寄贈に感謝しているけれど、島の反対側まで取りに行くのは費用がかさんでしまう。日常的に地元のコミュニティからも木材の寄贈を受け取っているよ。そのうちのほとんどは村で火を起こすのに使っているんだ。」
ニュージーランドのマオリ文化を起源とするテコテコ・ティキは、通常集会所の屋根を飾る先祖の姿を表した彫刻です。
資源と向かい合う
彫刻家たちは、このたくさんの贈り物をどうするのでしょうか?有名なハワイ語のことわざが、その答えを教えてくれるかもしれません。「Nānā i ke kumu」-資源と向かい合いましょう。この場合、資源とは木材そのものです。木々は、木の声に耳を傾ける準備のできている特別なアーティストとの対話を辛抱強く待っています。