ポリネシアカルチャー

家族への献身を表すトンガのことわざ

 ことわざは世界中で、どの時代にも使われてきました。例えば、英語のことわざに次のようなものがあります。「一枚の絵は一千語に匹敵する。」この言葉は、「百聞は一見にしかず」と同じ意味をもち、言葉による説明ではなかなか伝わらない事でも、何か具体的なものを見ればすぐに分かるということを意味しています。

 ポリネシアにも勿論ことわざがあります。今回はトンガに伝わる一つのことわざを紹介したいと思います。

アーモンドの木とフードバスケット

 ポリネシア・カルチャー・センターのトンガ村でアシスタントマネージャーを務めるセミシ・ファカタバが、トンガのことわざを一つ教えてくれました。 彼はサモア村を見渡し、少しの間考えてから、次のことわざを紹介してくれました。
                      Fakatu’amelie ki he‘ete taonga‘oku tautau i he fu’u telie.         

  ファカタバは次のように説明してくれました。「このことわざは、テリーの木(アーモンドの木の一種)の枝にぶら下がっているかごのことで、トンガでは祖父母の孫達に対する愛情を表現するために用いられています。

 「私の祖父母は農場に出かける時、いつも孫達のために料理を作って農場まで持ってきてくれました。作った料理を小さなかごに入れて彼らが農場を出る時に、テリーの木の枝にぶらさげておくのです。」

 「私たちは祖父母が農場に行くのを見る度に、心躍らせて一日の終わりに農場へいくのを楽しみしていました。トンガでは祖父母がよくかわいい孫達のために愛情のこもった料理を作り、農場にあるアーモンドの木にその食事を残していくという文化があります。そして孫達はささやかな贈り物をくれる祖父母に感謝するのです。」
 それぞれの文化で表現の仕方に違いがありますが、祖父母の孫に対する愛情は全世界で共通しています。 トンガの文化では、アーモンドの木に孫達へささやかなプレゼントを残していくという風習が、祖父母の孫に対する愛を表現することわざとして使われています。

関連記事

  1. ポリネシアカルチャー

    モアイ像

    PCCにあるモアイ像世界中からPCCを訪れる人々は、そこでハワイやニ…

  2. ポリネシアカルチャー

    イライア・ベイリー:言葉は文化を語る

    イライア・ベイリー:言葉は文化を語る アオテアロア(ニュージ…

  3. ポリネシアカルチャー

    ハカに抱く畏敬の念

    ポリネシア文化のブロガー、ボビー・アコイJrによる語り  ヒ…

  4. ポリネシアカルチャー

    タ・モコ:マオリの伝統タトゥー

    ニュージーランドの小説家ケリ・フルメが書いた本、「ボーンピープル」、…

  5. ポリネシアカルチャー

    ハワイでここだけ!カヌーの上でダンサーが踊るショーHUKI

    アロハ!ポリネシアカルチャーセンターでは、開園中は2時20分…

  6. ポリネシアカルチャー

    モアニケアラ・フラ・フェスティバル2019

    モアニケアラ・フラ・フェスティバル2019-祝典と学びの1週…

おすすめ記事

最近の記事

  1. パウンダーズレストランのエグゼクティブシェフに世界的に有名な…
  2. ルアウだけじゃない!ポリネシア・カルチャー・センターのルアウ…
  3. ポリネシア・カルチャー・センター 完全再オープン 
  4. ポリネシア・カルチャー・センターは2021年1月18日にオー…
  5. ポリネシアの彫刻家たち:有り余るほどの祝福
  1. ポリネシアカルチャー

    トンガ:アホエイトゥの伝説
  2. ポリネシアカルチャー

    フラを通してライエ神殿100周年を祝う
  3. ポリネシアカルチャー

    家族への献身を表すトンガのことわざ
  4. 最新ニュース

    2019年に活躍したポリネシア出身のフットボール選手たちの栄誉を称える
  5. ポリネシアを食べる!

    フキラウ・マーケットプレイス再オープン!
PAGE TOP